冬に小規模な流行が見られることがあり、夏の感染だけではなくなってきています。
昔にアメリカの軍隊でワクチンを接種していた時期もありますが、今は実用化されていません。免疫不全状態の人には重症化がしやすいため、シドフォビルというお薬などがつかわれることがあります(日本では手に入りません)。
どういう病気?
有名なもので言うと「プール熱」といわれる激しい喉の痛みと目の充血の咽頭結膜熱、「はやり目」といわれる目の充血・目やにが中心の流行性角結膜炎、下痢・嘔吐が中心の腸炎が有名です。
感染する部位によって様々な症状がでますが、1週間から2週間の潜伏期間のあと、高熱が4〜5日ほど続きます。
主な症状
- 目に感染すると:目の充血
- 喉に感染すると:喉の痛み、鼻水、鼻づまり、首のリンパ節の腫れ
- おなかに感染すると:下痢、嘔吐
- 膀胱に感染すると:血尿、頻尿、排尿障害
アデノウイルス感染症の特徴
アデノウイルスは現在80種類以上確認されており、そのそれぞれがのどや鼻、肺、眼、腸、膀胱などに感染して症状を引き起こす夏場に多いウイルスです。
咽頭や腸の感染の場合は主に1歳から5歳までのお子さんにかかり、全体の約4分の3を占めています。一部の報告では3歳までにほとんどのお子さんが感染すると言われています。角結膜炎の場合は30歳ぐらいがよくかかる年齢です。感染した部位の症状で収まることがほとんどですが、免疫力が低下していると全身に感染が広がることもあります。
感染経路としては、主に接触、飛沫感染です。特に目の症状では接触感染を起こしやすいため注意が必要です。
一般的な診断・治療
一般的に診断は症状や病歴を元にした診察と、院内の迅速検査で行います。
治療としてはそれぞれの症状に対して対症療法で行うことが多いですが、目の症状が強いときはステロイドの点眼や二次感染に対して抗菌薬の点眼を行います。
また、肺炎に対してはステロイドによる治療を行うこともあります。
ホームケア・アドバイス
接触感染を起こしやすいため、感染者がいるときはおうちのタオルを別々にする、触った場所をアルコールで消毒するなどの家族内の感染に注意が必要です。
触ったところの消毒は次亜塩素酸やアルコールで!!逆性石けんなどはあまり効きません。
喉の痛みが強いときは、のど越しの良いゼリーや冷たい物の方が食べやすいと思います。水分はこまめに与えてください。
受診の目安
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目の症状が強いときは感染後に目の角膜が濁ってしまうことがあるため、早めに受診しましょう。
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ぐったりが続くとき、喉の痛みが強くて水分をとれないとき、また高熱が3日以上持続するときは受診をしましょう。
登校・登園の目安
咽頭結膜熱であれば熱が下がり、喉の痛み、充血がなくなるなどの症状がなくなってから2日間はお休みしましょう。結膜炎や腸炎の場合でも咽頭結膜熱に準じた対応がよいと思われます。