ロタウイルス性腸炎

2020年秋よりロタウイルスのワクチンが定期接種となります。
ロタウイルスの感染では2回目以降の症状が軽くなる性質を応用して、重症化を予防することがワクチンの目的となります。

どういう病気?

ロタウイルス性腸炎ってどんな病気?冬から春にかけて流行する、ロタウイルスによる感染性胃腸炎です。
とても感染力が強くほとんどの子供が5歳までにかかるといわれています。乳幼児の初感染では重症化しやすく、発展途上国では死亡の原因にもなります。時に脳炎や脳症といった重篤な合併症をきたすこともあります。

主な症状

  • 発熱
  • 嘔吐
  • 白色下痢

ロタウイルス性腸炎の特徴

A~G群の7種類に分類され、人へ感染するのは主にA群とC群ですが、多数の遺伝子タイプが存在します。
感染経路は、汚染された水や食べ物を触った手からウイルスが口へ入る経口(糞口)感染です。わずかな数のウイルスで感染が成立するため感染予防は難しいです。
1-3日の潜伏期間の後、発熱と嘔吐から症状が始まり、その24-48時間後から水様の下痢が頻回に出ます。下痢便は白っぽい色であったり、酸っぱいにおいがしたりします。腹痛、腹部の不快感などもみられます。通常は1週間ほどで改善しますが、初めての感染では重症化して重度の脱水症となる危険性があります。
脳炎、脳症の合併症をきたすこともあります。
感染を繰り返すごとに症状は軽くなるため、年長児や大人は軽症で済むことが多いです。

一般的な診断・治療

迅速検査が可能で、便を用いて10分程度でわかります。(迅速検査はA群しか検出できません。)
特効薬はありません。他のウイルス性腸炎同様に脱水予防、脱水に対する対症療法を行います。経口補液、点滴などが中心ですが、悪化した場合は入院治療が必要となります。
抗生剤は必要ありません、下痢止めもかえって症状を長引かせるため使用しません。

ホームケア・アドバイス

脱水の予防がメインとなります。
嘔吐の直後は腸の動きが悪く吸収が悪い状態になっているため、すぐには水分を与えません。2,3時間経ってからゆっくりと水分摂取を始めましょう。最初は小さじ1杯程度の経口補水液から開始し15分毎に繰り返します。1時間程度経過して、落ち着いていれば1回の水分量を少し増やしてゆっくりと水分を与えます。
感染を拡大させないためには、オムツの適切な処理(使い捨てのゴム手袋などを使い、捨てる場合はポリ袋などに入れる)、手洗い、吐物や便で汚れた衣類の次亜塩素酸消毒などによる処置が必要です。(アルコール消毒では無効です。)

受診の目安

  • 嘔吐が頻回で半日以上続く。
  • ぐったりして反応が乏しい。
  • 痙攣したり、意識がもうろうとしている。

登校・登園の目安

下痢、嘔吐の症状が軽快し全身状態が良好となれば登園可能です。