今週末は名古屋で開催された日本小児感染症学会、学術集会2023に参加してきました。
昨日は学会の雰囲気をお伝えしてみました↓
今日は実際に学んだ内容をかいつまんでお伝えできればと思います。
インフルエンザ検査キットの問題点
インフルエンザの抗原キットが偽陽性(本当は居ないのに、陽性のラインが出る)となる要因の一つに、HAMAというものがある。
HAMAというのはHuman Anti-Mouse Antibodyの略で、マウス(ねずみ)に対する抗体を持っている人が、実は約10%いるという事実😱。
抗原検査キットはマウス(ねずみ)に造らせた抗体を使っていることが多く、マウスに対する抗体を持っている人で検査をすると稀にこの抗体が反応してウイルスがいないのに陽性ラインが出ることがある。へ〜。そうなんだ。
インフルエンザの経鼻生ワクチン
国内で生産されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって、死んだウイルスのパーツを皮下に注射するタイプのワクチンなんですが、海外では鼻にスプレーするタイプの生ワクチンが存在します。
こちらは毒性を弱めた「生きたウイルス」を使うワクチンです。
簡単に言えば「軽くインフルエンザにかからせる」ようなワクチンです。
鼻の粘膜でIgAという粘膜表面でウイルスをブロックする抗体ができるので、理論上は直接感染を防ぐ効果があります。(もちろん100%ではありませんが)
経鼻生ワクチンと皮下不活化ワクチンとではどちらが効果が高いかは様々な研究データがありますが、概ね18歳以下の小児では経鼻生ワクチンの方が感染予防効果ならびに重症化予防効果は高いようです。
実は国内のワクチンメーカーも開発をしていて、最終段階に来ているため、来年の秋の接種では経鼻生ワクチンが選択肢となりそうです。
いや〜、これは期待したいですね。注射じゃないから痛くないし、子どもに優しいですよね。
ゾフルーザのデータ
インフルエンザ治療薬として最後に出てきた「ゾフルーザ」というお薬がありますが、これは1回内服するだけで良いお薬です。
ガイドラインなどでは「まだ有効性や安全性、変異株の出現などの詳しいデータが乏しいため、小児には積極的には勧めない」ということになっていましたが、今回の学会での発表では、
- 解熱までの日数はタミフルなど従来のお薬と大差なし
- 小児の入院リスクを下げた
- 耐性株の出現が懸念されていたが、それほど顕著ではなさそう
というような報告が多かったようです。
赤ちゃんの食物アレルギーが治っていく理由
まだ離乳食も始まっていない赤ちゃんが、卵や小麦などに感作されているのを診ることがありますが、この感作は口からではなく皮膚で感作される可能性が高いことが以前からわかっています。
しかし、実際に少しずつ食べ進めていくと、離乳期には胸腺が発達してT細胞、特に抑制性T細胞(Treg)が働き始めて、免疫寛容(免疫がアレルゲンに慣れていく)が起きやすくなるんだとか。
なるほどな〜、それで赤ちゃんの食物アレルギーは1歳くらいまでに自然に治るケースが多いんだね。納得。
まとめ
上記以外にもまだまだ色々と勉強してきたのですが、かなり専門性が高い内容だったので、わかりやすい(伝えやすい)ものをピックアップしてお伝えしました。
今回もかなり情報がブラッシュアップされました。
明日からの診療に役立ちそうだ〜。
今日も読んでくれてありがとう☺️
ではまた明日もお会いしましょう👋
おまけ:日替わり動画
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