4年ぶりのマイコプラズマ。

コドモの病気と治療
Little boy isolated on purple background coughing a lot

マイコプラズマ。

この名前、久しぶりに聞いたって方、多いんじゃないでしょうか。

かく言う私も口にするのも数年ぶりですが、今日「もしや」と疑った患者さんで陽性者が出ました。

最近咳が長引く子が増えてて、そろそろ来るんじゃないかとアンテナ張ってたんですよね〜。

ということで、今日は久しぶりにマイコプラズマについて解説してみたいと思います。

どんな病気?

小児のマイコプラズマ感染症は、小学生くらいを中心とした、少し大きな子がかかりやすい呼吸器感染症です。

この病気は、マイコプラズマ菌(Mycoplasma pneumoniae)によって引き起こされ、特に秋から冬にかけての寒い季節に流行します。

「マイコプラズマ=肺炎」と認識されているケースも多いようですが、マイコプラズマに感染した全員が肺炎を起こすわけではなく、普通の風邪と同じように、咽頭炎⇒気管支炎⇒肺炎と順番に進んでいきます。

ですので、肺炎にまで至らない「マイコプラズマ咽頭炎」というのも存在します。

ただし、初期の頃は他の風邪と区別がつかないので、マイコプラズマと診断されにくいというだけです。

コロナ禍の感染対策により、この4年間はほぼ発生していませんでしたが、最近少しずつ復活しつつあります。

どんな子がかかりやすい?

2歳から15歳の子どもたちに一般的で、特に学校や保育園など集団生活をしている子どもたちに多く見られます。

大人にもかかりやすい呼吸器感染症で、先に親や兄弟が「咳が少し前から続いている」というケースで、実はマイコプラズマだった、というパターンがよくあります。

どんな症状?

この感染症の初期症状は、軽い発熱や喉の痛み、頭痛、全身の倦怠感など、風邪に似ています。

しかし、特徴的なのは乾いた咳が長引くこと。

2週間以上咳が続く場合に、百日咳などと共に鑑別すべき疾患の一つです。

呼吸器以外の合併症

呼吸器症状以外では、中耳炎や喘息の悪化、稀に神経系の合併症も見られます。

これらの合併症は、特に幼い子どもや基礎疾患を持つ子どもにおいて、重症化する可能性があります。

診断・検査

医師は症状や経過、身体所見に基づいてマイコプラズマ感染症を疑います。

マイコプラズマを診断する際には発症時期や地域の流行状況、保育園や学校での類似症例の有無などが大切です。受診する前には学校や幼稚園・保育園に感染状況の聞き取りをするようにしましょう。

疑ったら、病原体検査を受けていただくことになりますが、検査には喉の迅速検査、喀痰の培養、血液検査(抗体検査)などが行われます。

呼吸状態によっては、レントゲンを撮ることもありますが、病原体診断のためにはあまり撮影されなくなりました(のどの検査の方が簡便であるため)

治療

検査でマイコプラズマと診断されたら、治療には抗生物質が使用されます。

特にマクロライド系抗菌薬が効果的です。日本ではクラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッド)という抗菌薬が第一選択となります。

効果が乏しい場合はニューキノロン系抗菌薬など他の抗菌薬を選択することになります。呼吸状態や全身状態が悪い場合は副腎皮質ステロイドを使用することもあります。

予防

感染経路は飛沫感染です。

定期的な手洗い、咳エチケット(マスク含む)の徹底、良好な栄養状態の維持が感染の予防に役立ちます。

また、感染が疑われる場合は迅速に医師の診察を受け、必要に応じて学校や保育園を休むことが推奨されます。

まとめ

マイコプラズマ感染症は子どもたちに頻繁に見られる病気です。

慣れた小児科医であれば、診断はさほど難しくはありません。

気になる症状があれば、かかりつけの小児科医を受診するようにしましょうね。

今日も読んでくれてありがとう☺️

ではまた明日もお会いしましょう👋

おまけ:日替わり動画

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