今日の内容のあらすじ
今年もインフルエンザのシーズンが始まっています。
流行が始まると、多数のインフルエンザ患者さんが発生するので、一定の確率で重症化や困ったケースが発生するようになってきます。
インフルエンザ脳症が最も避けたいことですが、もっと日常的なことで「結構困る」のが異常行動です。
今回はその「異常行動」について、抗インフルエンザ薬の使用の有無にかかわらず注意が必要 という点を、科学的根拠と公的情報を交えて解説します。
インフルエンザで「異常行動」は本当に起きる?
インフルエンザにかかった子どもでは、以下のような“普段とは違う行動”が出ることがあります。
- 突然走り出す、室外へ飛び出そうとする
- 高所から飛び降りようとする
- 意味不明な言動
- 幻覚・幻聴を訴える
- 深夜に徘徊する など
これらは インフルエンザウイルス感染そのもの や、高熱、脱水、免疫反応 による一時的な脳機能の乱れが原因と考えられています。
抗インフルエンザ薬(タミフル等)との関係
「薬が原因」ではなく「インフルエンザ自体が原因」
かつてタミフルと異常行動の関連が報道され、議論となりましたが、現在の厚生労働省や研究データでは以下がコンセンサスです。
- 薬を使っていない子にも異常行動は起きている
- 薬の有無で発生率に大きな差はない
- むしろ一部研究では「薬の使用で発生率が下がる可能性」も示されている
つまり、
異常行動は “薬の副作用” というより、“インフルエンザそのもの” によって起こる
という理解が正確です。
いつ注意が必要?
もっとも異常行動が起きやすいのは次のタイミング。
- 発熱直後〜発熱ピークの間
- 解熱後1〜2日間
この期間は 薬の有無に関係なく、必ず見守りが必要 です。
ご家庭でできる安全対策(重要)
● 1. とにかく「目を離さない」
特に下記の時間帯は注意:
- 就寝前
- 夜間
- 朝方
● 2. 家の中の安全を確保する
- 窓・ベランダ・玄関に鍵(補助ロックがあると◎)
- 高い場所へ上らせない環境づくり
- 階段へのゲート設置
● 3. 発言や行動が「いつもと違う」場合の対応
- 急に不安感が強くなる
- 意味不明な発言が続く
- 妄想・幻覚を訴える
- ふらふらして危ない
こんな時は、動画やメモで記録→受診時に医師へ伝える と診療に役立ちます。
● 4. こんな場合はすぐ受診を
- 意識がもうろうとしている
- 的外れな返事が続く
- けいれん
- 顔色が悪い、呼吸が早い
- 異常行動が長く続く
インフルエンザ脳症などの可能性もあるため、早めに医療機関に相談を。
なぜ「薬の有無に関わらず注意」が大事なのか
ママ・パパの中には、
- 「薬を飲ませてないから安心」
- 「薬を飲ませたから大丈夫」
と思う人もいるかもしれません。
けれど、医学的には
インフルエンザにかかった時点で“異常行動が起こりうる” リスクがある
というのが最新の科学的見解です。
だからこそ大切なのは…
薬の種類ではなく、“子どもをよく見守ること” が安全を守る一番のポイント。
本日のまとめ
- インフルエンザの異常行動は 薬ではなく病気そのものが主原因
- 発熱直後〜2日間は特に注意
- 家庭内の安全対策と、子どもから目を離さないことが最重要
- いつもと違う様子を感じたら、迷わず医療機関へ
