【ママ・パパ必読】子どものインフルエンザ⑤ワクチン

コドモの病気と治療
Monkeypox virus, 3d virus background, monkeypox virus molecule on blue background, medical background with virus molecules

はじめに

さあ、いよいよシリーズのラストです。最後のトリを飾るのは、、、

ワクチン💉

です。

では行ってみましょう。

インフルエンザワクチンの目的

「え?ワクチンの目的は、そりゃ罹らないようにすることでしょ?」

という声が聞こえてきそうですが、これは半分正解で、半分間違いです。

一般の方はワクチンの目的を「感染しないように守る」と考えていると思います。

もちろん、製造メーカーはこれを目標にワクチンを作ります。

しかしながら、インフルエンザワクチンというのは、実際には重症化予防が目的なんです。

それはなぜか。

原因はウイルス感染のメカニズムの違いなんです。

ウイルスはどこで増える?

ウイルスにはいろんな感染の仕方があるんですが、大きく分けると

①感染の局所でウイルスが増えるもの

②血液に乗って全身でウイルスが増えるもの

とがあるんです。

①の代表はインフルエンザなどの気道感染症や、ノロ・ロタといった消化管感染症です。

一方②の代表は麻疹や水痘、おたふくかぜなどです。

基本的に、ウイルスは口や鼻から体に侵入してきます。

①の局所で増えるウイルスは、気道(空気の通り道。鼻や喉、気管、肺など)や消化管(胃や腸)で増えます。

一方、②の全身にまわるウイルスは、口から入って、血管の中に侵入し全身に広がってあらゆるところで増殖します。

免疫はどうやってウイルスを防ぐ?

一口に「免疫」といっても、さまざまなメカニズムが存在するのですが、ウイルス感染に関係するのは主に液性免疫と言います。

主役は「免疫グロブリン」という蛋白質で、ウイルスにくっついてその作用を弱めたり、無毒化したりします。

免疫グロブリンには、IgG・IgA・IgM・IgE・IgDなどがあります。

この中で、ウイルス感染に特に関係が深いのがIgGとIgAです。

これらの違いは守備範囲の違いです。

IgGは血管内(血液中)に存在し、全身に回ろうとするウイルスを食い止めます。

一方IgAは気道や消化管の粘膜に存在し、外敵の侵入に備えています。

ウイルスが気道や消化管に入ると、IgAが粘膜表面に出てきてウイルスの増殖を最前線で食い止めます。

一度感染すると、体はそのウイルスを覚えていて、そのウイルスに反応するIgAを速やかに作ります。

そうすると、それ以上ウイルスは先には進めなくなって、感染できなくなってしまいます。

つまり、局所で増えるウイルスに対してはIgAが作られないと感染を予防できないわけです。

一方、全身に回るウイルスに対しては、IgAが仮に突破されてもIgGが次の壁として守ってくれます。

なので、全身をめぐるウイルス感染症に対してはIgGがあれば感染を防ぐことができるわけです。

ワクチンはどのグロブリンを増やす?

答えから言ってしまうと、ほとんどのワクチンはIgGを増やします。

注射のワクチンはどれもIgGを増やします。

例外はロタウイルスワクチンやポリオワクチンなど、口で飲んで聞かせるワクチン。これはIgAを産生します。

で、インフルエンザワクチンはどうなの?

インフルエンザワクチンは注射のワクチンなので、IgGを増やします。

でも、インフルエンザは気道粘膜という局所で増えるウイルスですので、感染すること自体を予防するためには、IgAが必要なのです。

ただ、効果がゼロかというとそうではなく、ウイルスが全身に広がったりするのを防ぐ効果はありますし、IgAほど粘膜表面では効きませんが、ウイルスが粘膜から少し深く踏み込んで血液があるところまで侵攻すると、そこではIgGが待ち構えていますので、それ以上にウイルスが侵入することはできなくなります。

これが、インフルエンザワクチンが「感染予防ワクチンではなく、重症化予防ワクチンである」という理由なんですね。

ご理解いただけましたでしょうか。

まとめ

今日はインフルエンザのワクチンについて解説してみました。

今日は少し専門用語が多く、理解が難しかったかもしれません。

「もう少し詳しく説明してほし〜」という方は、ぜひ毎週水曜日のYouTubeライブで質問してみてくださいね。

今日も読んでくれてありがとう!

明日もこのブログでお会いしましょう👍

おまけ①なんでも相談室アーカイブ

今週水曜日もYouTubeライブ「なんでも相談室」を開催しました。

今回も多彩なご質問・ご相談をいただき、1時間強、しっかりお話しさせていただきました☺️

下記のタイムスタンプをクリックすると、その部分の動画が始まります。

【本日の相談内容】

2:00 今週の出来事

〇Instagramから

9:10 8ヶ月。咳がひどいRSとヒトメタ。将来喘息になる?

11:40 1歳娘。初めてのインフルエンザ予防接種で不安….

14:31 MRワクチン。市の掲示が不正確。保健センターに伝えるべき?

19:05 小6の息子のチック。精神科受診するべき?投薬したくない!

22:59 サチコ先生のアロマスプレーで、パパの枕も良い香り

24:26  10周年イベントとっても楽しかった!

24:44 寝冷えして風邪?心配。

27:10 10周年イベントとても楽しかったです。

27:58 6歳息子。顔の上半分が赤く腫れ。初日は痒みあり。アレルギー?

29:20 小1息子。胃腸炎。お風呂で移る?

32:52 発達に関して違和感。特性は何歳ごろから出てくる?

37:56 ケイジ先生も赤ちゃんの匂い好きですか?

39:34 一歳の息子。牛乳を飲むと下痢。園での牛乳提供止めるべき?

○YouTube から

44:32 スタジオの棚にあるのはLEGO?うちの子も大好き!

45:42 コロナワクチン7回接種済み。ワクチンによる将来の後遺症は?

50:01 予防接種してもロタウイルスは感染する?

54:10 小2と小1。先生オススメの習い事

ライブへの相談は↓からお気軽に

  • Instagramのストーリー:当日のAM11:00に質問箱設置
  • YouTubeのコメント欄:開始後も相談を投げることができます

の2とおりの相談の仕方があります。

YouTubeはチャンネル登録していただくと、ライブが始まる時に通知が届きます。

チャンネル登録は↓からお願いします。

【小児科専門医】ケイジ先生の子ども健康相談室
大阪府堺市でぐんぐんキッズクリニック(小児科・アレルギー科)と病児保育室を運営する「医療法人社団ワッフル」の公式Youtubeチャンネルです。 😀お悩み相談LIVE開催中 毎週火曜日21時より 当チャンネルにてお悩み相談LIVEやってます。...

Instagramもフォローしていただくと、ストーリーでライブの通知が届きます↓

ブラウザーをアップデートしてください

ご登録よろしくお願いします🙇‍♂️

おまけ②:本日の「切り抜き動画」

タイトルとURLをコピーしました