今、世界の小児科業界では、韓国の小児科医不足が非常に話題になっています。
小児科クリニックの閉院や、病院の小児科がどんどんなくなっている現状。
何が起きているのか解説してみたいと思います。
韓国で何が起きているのか
合計特殊出生率という言葉を知っているでしょうか?
簡単に言うと、「2人の親から何人の子どもが生まれるか」という指標です。
日本は、令和4年で、1.26となっています。
人口が維持されるためには、2人の親から2人の子どもが生まれないといけないので、1世代進むごとに0.6倍のスピードで人口が減少していきます。
やばいですね😓
で、韓国はというと、、、なんと、0.78😱
少子化の進行も結構危機的な感じがしますね。
研修医たちが研修を終え、専門分野を選ぶ時に、この少子化を目の前にして小児科医を選ぶかというと、当然躊躇してしまいます。
実は私も「小児科医になる」と言った時、私の両親は止めました。
そりゃそうですよね。日本ですら1.2台ですから、30年後には子どもが6割になるんですから。
そんなこんなで小児科医がどんどん減っている最中、今年の5月には呼吸器感染症の5歳の男児が病院のベッドを見つけられずに死亡するという悲しい出来事が起きました。
当時は小児科医がバッシングされましたが、元々少ない小児科医は十分がんばって仕事をしていたので、「もうこれ以上小児科医は続けられない」と立ち去った小児科医も多かったと聞きます。
そうして小児科医の減少に歯止めがかからなくなってしまったんですね。
韓国の少子化について
深刻な少子化の背景には、若年層の婚姻・出生率の著しい低下が挙げられています。
若者が結婚や出産を望まない要因として、就職難や都市部の地価高騰、多大な教育費負担といった経済的要因や、韓国独自の文化・価値観などが挙げられることが多いようです。
韓国独自の伝統的価値観(儒教思想など)では、結婚があってこその出産であり、事実婚は一般的ではないため、結婚する男女の減少によって出産率も低下しているのだろうと推測されています。
これは日本も同じ状況ですよね。
また結婚の挨拶の際に、職業や持ち家の有無を詳しく聞かれる習慣も残っており、結婚のハードルの高さがあるといいます。これも昭和の日本のようですね。
まあ理由はまだまだたくさん考えられていますが、結局のところ結婚・出産を控えてしまうので少子化になっているわけです。
なぜ韓国で小児科医が減るのか
最も大きな問題とされているのが、診療報酬の安さです。
要するに、小児科クリニックの経営を続けられなかったり、小児科医に十分な給与を払えなかったりするわけです。
国ごとに単純に比較することは物価などの問題があるので難しいですが、韓国は小児1人を診ると10ドルほどですが、日本は40ドル、オーストラリアなどは300ドルというデータがあります。
経営を続けていくためには、欧米諸国は1日20人ほど診察すれば良いですが、日本では40人程度、韓国では100人以上を診察しなければならないという見方もあります。
病院勤務の小児科医に関しても、給与は低く、医師平均の43%しか貰えていない。
なぜここまで小児科の診療報酬が安いかといえば、少子化なので保険診療の料金改定が放っておかれたという背景があるようです。
最近の韓国では、美容ビジネスが急成長しており、美容整形に転身する小児科医も増えているようです。
小児科医も霞を食べては生きていけません。
小児科医が足りないというのは、子どもを育てるにおいては不安要素でしかありませんよね。
安心して育てられない社会では、当然出生数も鈍ります。
韓国を通じて日本の将来を見る
さて、ここまで韓国の小児科事情をご紹介してきましたが、日本はどうでしょうか?
実は幸い、日本の小児科医自体は人口比でみると少し増えてきています。(もちろん総数は減っていますが)
しかし、病院とクリニックで見ると、病院の小児科医は増えていますが、クリニックを開業する小児科医は減ってきています。
みなさんも実感されているかもしれませんが、近所に小児科はあるけど、どこもイッパイでなかなか受診がしにくくなってませんか?
これはまさに小児科クリニックが少子化以上のスピードで減ってきていることの表れです。
韓国と同じで、「将来患者が減って経営が立ち行かなくなるのではないか」という不安があるからだと私は考えています。
私たち小児科医は、少なくとも内科医程度には診療報酬をあげてもらえるよう、働きかけていかなければなりませんね。
まとめ/
来年春には医師の働き方改革で、全国の夜間・休日の急病診療所が回らなくなることが想定されています。
韓国と同じような状態はすぐ目の前に来ていると思います。
小児科医は、直接子どもを増やすことはできませんが、安全・安心な生育環境を作ることはできます。
働きがいがあって、経済的にも不満がない状態を作って、「小児科医になりたい!」と思ってもらえるような環境を作っていかなければなりませんね。
啓発活動も頑張っていきたいと思います。
今日も読んでくれてありがとう!
明日もまたお会いしましょう👋
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22:28 熱や下痢はないのに食事中に嘔吐。考えられる病気は?
25:30 インフル陽性。治ったあとはいつからインフルワクチンOK?
27:30 もうすぐ生後9ヶ月。ハイハイしません。大丈夫?
30:49 もうすぐ1歳女児。下唇を吸う癖が。歯への影響は?
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