【ママ・パパ必読】子どものインフルエンザ③治療

コドモの病気と治療
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はじめに

昨日・一昨日とインフルエンザの概要と診断についてお話ししてきました。

今日は治療について解説してみたいと思います。

治療薬の一覧

インフルエンザの治療が積極的にできるようになったのは、実はこの20年くらいのことです。

それまでは対症療法しかなく、言わば「気合いで乗り切る」しかなかったわけです。

ところが2001年のタミフルの発売を皮切りに、様々な治療薬が開発されてきました。

現在、インフルエンザに効果があると認められているお薬をお示しします↓

  • ノイラミニダーゼ阻害薬
    • タミフル(内服)
    • リレンザ(吸入)
    • ラピアクタ(注射)
    • イナビル (吸入)
  • キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬
    • ゾフルーザ(内服)
  • その他
    • シンメトレル(内服)
    • 麻黄湯(内服)

以下の項では、それぞれを解説していきたいと思います。

タミフル

1日2回、5日間の内服薬です。

カプセルと粉薬があります(海外ではシロップ剤もあります)。

独特の苦味があるので、小さいお子さんは割りと工夫が必要です。

一昔前には、タミフルと異常行動の関係が心配されましたが、その後の研究・調査により因果関係は否定されています。(処方の際には、一応薬局で「異常行動について注意してね」と一言添えられますが)

リレンザ

1日2回、5日間の吸入薬です。

使い捨ての器具に粉薬のカプセルをセットして、一定の操作をした後、口に咥えて思い切り吸い込みます。

粉は若干甘い味がします。粉の量は少ないので、あまり粉を吸い込んでいる感じはしません。

逆に甘く感じた場合は舌や口の粘膜にたくさん付いてしまっている可能性があり、肺まで上手く吸えていない恐れがあります。肺までしっかり吸わないと効果が無いので、きちんと吸える年齢になってからのお薬です。

また、粉には乳糖が含まれており、牛乳アレルギーがある方はアレルギー症状が出ることがあるため、避けた方が良いでしょう。

ラピアクタ

1回だけ点滴をして終わり。それで完了のお薬です。

発売当初は、血管内に直接投与するお薬なので、アナフィラキシーなど強い副作用が心配されましたが、10年以上使用され、安全性は確立されています。

小児にとっての難点は注射の痛みにつきますね。

でも比較的状態が悪かったり飲み薬が苦手なお子さんにはこの薬があると非常に助かります。

イナビル

1日1回、9歳以下は1キット(2吸入)、10歳以上は2キット(4吸入)を、貰ったその日に吸ったらそれで完了。

非常に便利ですが、同じ吸入薬のリレンザに比べると粉の量が多めなので、咳が強い患者さんは、粉の刺激で咳き込んで折角吸ったお薬を吹き出してしまわれるケースがあります。

また、リレンザと同じく牛乳アレルギーがある方は避けた方が良いとされています。

ゾフルーザ

1日1回の内服で終了するお薬です。今のところ錠剤飲みです。

上の4つはノイラミニダーゼ阻害薬といって、ウイルスを撒き散らさないようにするお薬ですが、ゾフルーザは細胞の中に入って「ウイルスを増殖できなくする薬」です。

ウイルス増殖の仕組みの上流の方を阻止するため、理論上はこちらの方が効果が高いはずですが、研究データでは若干解熱が早いか、同等という結果になっています。

また、ウイルスにとっては重要なポイントを邪魔されるので、遺伝子変異が起こりやすく耐性化が心配されています。

シンメトレル

1日2回、5日間の内服薬です。

実はこのお薬、ググると「パーキンソン病」という神経の病気に対するお薬という説明が出てくることがおおいですが、元々はインフルエンザのお薬として開発され、2001年にタミフルが発売されるまではインフルエンザ治療の主役でした。

ただし、インフルエンザのA型にしか効かず、症状を和らげる効果はタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害薬に劣るため、タミフル発売後は殆ど使われなくなってしまいました。妊婦に使用すると催奇形性があるため使用は禁忌です。

麻黄湯

ご覧のとおり、漢方薬です。

一応、添付文書的には「1回1包を1日3回」ということになっています。

ただ、これは基本であって、漢方の達人は物凄い使い方をされます。

インフルエンザの引きはじめに数時間に1包を飲み続けるとか。(詳しくは申しません)

原理としては、麻黄湯に含まれるエフェドリンという成分が含まれていて、これが咳を鎮めたり、熱を下げたりするといわれています。また、麻黄湯の主成分「麻黄」には抗ウイルス作用があると言われています。

ま、ただし漢方薬なので、小さいお子さんが飲みやすいかというと、、、ですね。

どれを選ぶか

ぶっちゃけ主治医の考え方や医療機関の採用薬剤に大きく左右されますが、強いて言えば、

・基本は王道のタミフル。迷ったらコレ!

・おおむね10歳以上であれば、リレンザ・イナビル

・どちらも難しければ、ゾフルーザを粉砕して1回内服

・どうしても内服も吸入も難しければ、注射のラピアクタ

というところでしょうか。

まとめ

基本的には主治医が子どもさんを診て必要なものを選んでくれますが、考え方を知っておくことは良いかと思います。

ぜひこの機会にお勉強してみましょうね〜。

今日も読んでくれてありがとう!

明日もこのブログでお会いしましょう👍

おまけ①なんでも相談室アーカイブ

今週水曜日もYouTubeライブ「なんでも相談室」を開催しました。

今回も多彩なご質問・ご相談をいただき、1時間強、しっかりお話しさせていただきました☺️

下記のタイムスタンプをクリックすると、その部分の動画が始まります。

【本日の相談内容】

2:00 今週の出来事

〇Instagramから

9:10 8ヶ月。咳がひどいRSとヒトメタ。将来喘息になる?

11:40 1歳娘。初めてのインフルエンザ予防接種で不安….

14:31 MRワクチン。市の掲示が不正確。保健センターに伝えるべき?

19:05 小6の息子のチック。精神科受診するべき?投薬したくない!

22:59 サチコ先生のアロマスプレーで、パパの枕も良い香り

24:26  10周年イベントとっても楽しかった!

24:44 寝冷えして風邪?心配。

27:10 10周年イベントとても楽しかったです。

27:58 6歳息子。顔の上半分が赤く腫れ。初日は痒みあり。アレルギー?

29:20 小1息子。胃腸炎。お風呂で移る?

32:52 発達に関して違和感。特性は何歳ごろから出てくる?

37:56 ケイジ先生も赤ちゃんの匂い好きですか?

39:34 一歳の息子。牛乳を飲むと下痢。園での牛乳提供止めるべき?

○YouTube から

44:32 スタジオの棚にあるのはLEGO?うちの子も大好き!

45:42 コロナワクチン7回接種済み。ワクチンによる将来の後遺症は?

50:01 予防接種してもロタウイルスは感染する?

54:10 小2と小1。先生オススメの習い事

ライブへの相談は↓からお気軽に

  • Instagramのストーリー:当日のAM11:00に質問箱設置
  • YouTubeのコメント欄:開始後も相談を投げることができます

の2とおりの相談の仕方があります。

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【小児科専門医】ケイジ先生の子ども健康相談室
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おまけ②:本日の「切り抜き動画」

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